以前瓦の形状による分類について書きましたが、今回は瓦の製法による違いについて。
前回の記事はこちらから→瓦の形状での種類分けや違いについて

瓦の製法で分けると2種類

瓦は製造方法の違いで分けると2種類に分類することができます。
瓦の色の発色のさせ方の違いで大きく違うんです。
日本の伝統的な色合いが魅力の『いぶし瓦』と釉薬による化学反応で発色させる『釉薬瓦』。
それぞれ詳しく説明していきますね。

いぶし瓦

その名の通り、瓦を焼き上げた後の工程でLPG等のガスを使って燻して作る瓦が『いぶし瓦』です。
この工程を燻化(くんか)と言い、ここがいぶし瓦の肝となる部分です。

燻化は密閉した一定の室内で、還元(*)をすることにより行われ、美しいいぶし色が生みだされます。
(*)還元:高温の無酸素状態で燃料をいれることにより、瓦内部の酸素が奪われ、表面に炭素の銀色被膜を形成します。
引用元 創嘉瓦工業HPより

瓦の表面だけでなく裏面も同じねずみ色、割っても中までネズミ色の瓦がいぶし瓦です。

画像引用元 愛知県陶器瓦工業組合より

一般住宅にももちろん使用されますが、お寺の瓦屋根とか、京都の街並みに使われている瓦をイメージしていただければと思います。
経年変化によって屋根に独特の色ムラが生まれてきて雰囲気が変わってくるのも魅力の一つ。
僕らはそんな屋根のことを『古美る(ふるびる)』なんて表現します。

Asia Kyoto Classic Old Vintage  - vinsky2002 / Pixabay
vinsky2002

時を重ねたからこそ表現できる独特の美しさがイイですね!

釉薬瓦(ゆうやくがわら)

もう一つが焼く前の段階で『釉薬(ゆうやく)』と呼ばれるウワグスリをかけて焼き上げることで様々な色に発色させることができる釉薬瓦。
現在はこちらの釉薬瓦が主流となっています。
高温で焼き上げる際に瓦表面の釉薬が化学反応でガラス質を形成することで美しい色合いが表現されます。
黒色・銀色・茶色・緑色など多くの色の瓦が作られています。

画像引用元 愛知県陶器瓦工業組合より

お皿や壺なども釉薬で色付けされた陶器製品。
先に釉薬を塗って一緒に焼き上げることで色落ちしにくいのもポイントです。
建築当時の色合いを長く保つことができるのも釉薬瓦の魅力の一つですね。
お皿や壺などの陶器製品も多少色が薄くなることはありますが、色が全部落ちてしまうことはありません。
耐久性はお分かりいただけるかと思います。

画像引用元 シノゲン瓦工業より

カラフルな色の中からお気に入りが見つかりますように。

ということで、瓦には製法の違いでいぶし瓦と釉薬瓦の2つがあります。
たくさんの屋根材の中から最適な提案ができる『屋根のソムリエ』と呼ばれるのを目指して頑張りまーす。
屋根のことは屋根のプロにお気軽にご相談くださいませ。